2000年03月号
発行こぶし編集部
第140号
『頭の痛いお話』藤田 毅

・悩みの種
みなさんの悩みの種は何でしょうか。
私にとってのそれは実に色々あるのですが、いずれの場合も頭を抱えて、「あ~、頭が痛い・・・」と嘆くのです。そう今月のお題は『頭痛』です。
どうも精神科医には頭痛持ちが多いようで、こぶしクリニックでもM先生はセデスGを、私はロキソニンを常用しています。皆さんの中にも頭痛で苦しまれている方はたくさんいらっしゃいますよね。診察のときに頭痛薬を出す機会は決して少なくないですから。 でもこの頭痛、意外と種類などちゃんとご存知の方は少ないかもしれません。そこで今回はこれを整理してみましょう。

・頭痛の分類
病気のお話をするときには、まず分類から・・・。 頭痛の分類は1988年に国際頭痛学会(IHS)で決められた国際分類が現在広く使われています。
全部で13に分かれるのですが、簡単に名称をご紹介します。
1.片頭痛、
2.緊張型頭痛、
3.群発頭痛および慢性発作性片側頭痛、
4.器質的病変を伴わない各種の頭痛、
5.頭部外傷に伴う頭痛、
6.血管障害に伴う頭痛、
7.非血管性頭蓋内疾患に伴う頭痛、
8.原因物質あるいはその離脱に伴う頭痛、
9.頭部以外の感染症に伴う頭痛、
10.代謝障害に伴う頭痛、
11.頭蓋骨、頚、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口、あるいは他の顔面・頭蓋組織に起因する頭痛あるいは顔面痛、
12.頭部神経痛、神経幹痛、求心路遮断性疼痛、
13.分類できない頭痛 となっているわけです。
中には想像がつくものもありますが、何のことやらさっぱり・・というのもありますね。今回はこの中から代表的な3つの頭痛を取り出して、説明します。

・片頭痛 まずは片頭痛。 これは思春期から中年期にかけて発症する女性に多いタイプの頭痛ですが、原因はまだわかっておらず、血管説やら神経説やら三叉神経血管説やら色々言われています。脳の中の血管が拍動するのに合わせて起こる結構強い頭痛です。頭痛発作は個人差がありますが、一度発生すると4~72時間程度続き、年に数回から多い人で月に数回起こします。大抵は頭の左右どちらかに発生することが多いのですが、まれに両側にみられることもあります。 しかも頭痛だけではなく、それに伴う随伴症状というものがあり、自律神経症状や消化器症状などを起こすのです。吐き気などはよく見られますね。また前兆として閃輝暗点や半盲といった視覚の異常が現れる人もいます。 親も片頭痛持ち・・という人が多いですね。

・緊張型頭痛 みなさんはこの頭痛の方が多いのではないでしょうか。かく言う私もこのタイプです。これは片頭痛と異なり、拍動するように起きるのではなく、頭が締め付けられるような感じの痛みが起こります。 中年期以降の男性に多く(ってことは、私も中年ですね・・)、肩こりや首の後ろのこりが引き金になっています。正確な原因はこれまたわかっておらず、背中にある大きな僧帽筋という筋肉が持続的に収縮することと(簡単にいうと肩こり)、心理的な作用で中枢性に痛みのコントロールができなくなっていることが関係しているといわれています。このため昔は心因性頭痛などともいわれていました。とはいっても決して気のせいの痛みというのではないですよ。ストレス性の頭痛といえますね。 痛みの程度は、片頭痛よりは軽く、軽度から中等度くらいといったところでしょうか。頭が"重い"と称される方もいます。

・群発頭痛 これは圧倒的に男性に多く、頭の片側だけに起こります。症状は、眼の周りや頭の前や横に激痛が起こり、周期的に1ヶ月くらいの間起こり続けます。一度起きると15分から3時間くらい続き、一日に1~2回発生します。片頭痛にくらべ持続時間は短いのですが、一日に複数回起き得ることが特徴です。飲酒で引き起こされることもあります。 これは相当痛いらしく、大の大人が転げまわるくらい・・だそうですよ。札幌こぶしにもこの頭痛で苦しまれている方がいますが、大変な痛みだそうです。

・でも私はどのタイプ? この3つの頭痛が主なものですが、これを読まれて「私は片頭痛もあるし、緊張型頭痛もあるみたい。重症なのかしら」と思われる方もいるかもしれませんが、実はこれらの頭痛は混合して発生していることも少なくないのです。また、どれかの頭痛が前面に出ていても背景には別の頭痛が隠されているということもあるのです。 それぞれの頭痛に合う薬や治療法がありますが、なかなかよくならないときには別のタイプの頭痛の治療を試みると、案外うまくおさまってくれたりもします。

・薬は気をつけて! 片頭痛はチョコレートやチーズ、ナッツなどで誘発されることがありますが、実は薬によって起きることもあるのです。血管拡張をする薬(血圧の薬など)では拍動性の頭痛を起こしやすくなりますし、案外注意が必要なのは、頭痛薬で頭痛を引き起こすことがあるということです。
私もよく処方しますし、実際私自身も使っている非ステロイド性の抗炎症剤(いわゆる痛み止め)は、決められた量以上を使うと、全然効かなかったり、かえって頭痛を引き起こすことがあるのです。頭痛がするからと頭痛薬をたくさん使って、効かないなあと思っている方は、もしかするとその頭痛薬で頭痛を起こしているのかもしれません。 しかしだからといって、急に止めるのもいけません。頭痛薬に限らず安定剤などでも急にやめるとリバウンド(反動)が起きて、ひどいめにあいますよ。 こうしてコンピュータの画面を見続けていると、段々と頭痛が・・・。というわけで、頭痛のお話はこれにておしまい。

・~~~読者の広場~~~
《食のシリーズ10》
『お塩の話』ネコ吉 「シママース」って名前の塩があります。それは数年前、沖縄に旅行したときにスーパーで売っていたのをお土産として買ってきて(家族にはひんしゅくを買いましたが)普通の食卓塩にはない甘みに、沖縄のこれが味の素なのかな?なんて思いました。
その塩は塩化ナトリウム(塩分)の他にカルシウム、マグネシウム、カリウムを含ませた、ちょっと普通とは違う塩でした。(安く売られている食卓塩は99%塩化ナトリウムです)今ではその塩も北海道で購入できるようになり、今ではなんだかこの塩を使わないと物足りない気がするほどです。
お米と塩分の相性はとても良く、私たちが食べるお料理にはほとんど塩分が含まれています。
塩分の入っていないお料理を本などで探すのが大変なくらいです。そう、私たちは3食必ず塩分を取っています。
お塩、お醤油、味噌、色々な食べ物にも塩分は入っています。日本人の栄養を調査すると一人一日平均13.5gの塩分を取っている事になります。でも、私たちが健康に暮らすには10g以下に塩分をしなければいけません。
塩分の取りすぎの害はご存じかと思います。まずは高血圧が問題になりますよね。
高血圧とは収縮期血圧が140mmHg、拡張期血圧が90mmHgのいずれかを越える事です。高血圧が続くと動脈硬化症を引き起こして心筋梗塞、狭心症、脳出血、脳梗塞、腎臓疾患などになってしまう危険があります。どの病気にかかっても恐ろしいですよね。高血圧はあまり自覚症状の無いまま進行していくので、誰もが血圧をチェックして気を付けなければなりません。 食生活から防ぐには、まずやっぱり薄味になれること。それから塩分を体外に排出してくれるカリウムを多く含む野菜、海藻、果物、芋を毎日の食事に取り入れることから始めましょう。
外食は塩分が多いので注意が必要です。他にも血圧を上げないために必要な事はたくさんあるのですが、次回に回しましょう。
美味しいお豆腐は甘くて醤油をかけなくても美味しいですよ。野菜も新鮮なものはドレッシングをいっぱいかけなくてもいい。ニシンを焼くときはお塩をふってから焼きますよね。食べるときお醤油をかけずに食べてみて下さい。
私はそれで丁度良いしょっぱさだとと思います。鍋料理はポン酢醤油じゃなくって、ゆずやすだちをぎゅっとしぼって食べると・・・とても美味しいのですが。どうでしょうか?